クラウド全般 技術

クラウド移行戦略についてまとめてみた

2025年2月12日


クラウド移行する動機

私の会社でもオンプレミスからクラウドに移行したい!というお客様がよくいらっしゃいます。話を伺うと大抵以下の理由であることが多いです。

  1. インフラコストの削減
  2. ハードウェアやOS、ミドルウェアなどの運用コストの削減
  3. 機能追加やアプリケーション開発のスピードアップ
  4. セキュリティの向上
  5. 自社のオンプレミスでは実現できない高可用性の実現

特に1と2の理由が多く、「HW保持とクラウド利用料が同額程度なのであれば、クラウドの恩恵を受けたい」「運用コストを削減したい」「中長期先を見据えたシステム構成としたい」といった声が多いように感じます。

クラウド移行に関する4つの戦略

"クラウド移行"と一言で言っても、色々な種類があるため以下に内容をまとめます。

文言

  • リホスト

IaaSの仮想サーバサービスに移行する戦略。(クラウドリフト&シフトと呼ばれることもあり、僕はこちらの呼び方をする方が多いです)

基本的にOS以上のレイヤー(階層)をそのままパブリッククラウドに移行させることを主眼とし、物理インフラに関するコスト削減を目的として採用されることが多い戦略です。 ※As-is(現状構成)のままクラウドへ移行(最小限の変更で素早く移行)

  • リファクター

システムの一部にPaaSを取り入れることで、運用コストに関する課題解決も視野に入れる戦略。(コードの内部を改良して移行)

リファクターは、外部の挙動は変えずにアプリケーションの内部構造を改善すること。(対象:アプリ)

クラウドシフトは、クラウドの利点を活かすためにシステムを最適化・再構築して移行すること。(対象:アプリ+インフラ)

  • リアーキテクト

既存のアプリケーションに対して、よりビジネスに合わせたスケーラビリティ(拡張性)や迅速性を取り入れることを目的に最適化を行うことを主眼とした戦略。

(システムやアプリケーションのアーキテクチャ(構造)を根本から再設計することを意味します。 ※設計を見直し、構造から作り直す)

  • リビルド

クラウドの機能を活用することを前提(クラウドネイティブアーキテクチャ)にアプリケーションを再構築する戦略。(要件を再定義し、クラウド向けに完全再構築)

戦略名意味(概要)変更の有無コスト/期間メリット
リホスト
(Rehost / Lift & Shift)
そのままクラウドへ移行するなし(構成変更ほぼ不要)低 / 短期移行が早い、リスクが低いオンプレのVMをそのままAWS EC2へ移行
リファクター
(Refactor)
コードを一部改善しながらクラウドに対応させる一部あり(内部構造のみ)中 / 中期保守性や性能向上、段階的な改善が可能DB接続処理や設定をクラウド向けに修正
リアーキテクト
(Rearchitect)
アーキテクチャを再設計してクラウド対応する大きく変更高 / 長期クラウドの利点を最大限に活用できるモノリス→マイクロサービス化
リビルド
(Rebuild)
アプリケーションをゼロから再構築完全に新規構築非常に高 / 長期最新技術をフル活用可能既存アプリを全く新しいクラウドネイティブアプリとして作り直す

上記以外の戦略

  • リタイア:システム廃止
  • リデイン:オンプレミスに残置
  • リロケート:オンプレミスと同じテクノロジーを利用できる環境に移行
  • リパーチェス:既存システムを廃止してSaaSに移行

おまけ(モダナイゼーション戦略)

"モダナイゼーション"というワードはビジネスの中でもよく聞くので、参考までにまとめておきます。

  • モダナイゼーション

老朽化したIT資産を最新化するだけでなく、企業の競争力強化を目的とした、DXを実現するための取り組み。

関連用語

  • リホスト:マイグレーション
  • リファクタ、リアーキテクト:モダナイゼーション
  • リビルド:イノベーション

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