はじめに
アプリケーションのパフォーマンスに影響を及ぼす要因は数多くありますが、その1つがネットワークのパフォーマンスです。
近年ネットワークパフォーマンスを大幅に向上させるためにさらなる機能改善が行われており、その中でも重要な高速ネットワークと近接通信配置グループについてまとめます。この2つの機能はいずれも無償で利用可能で、Azureユーザが享受できるMicrosoftのネットワーク投資の対価と言えます。
高速ネットワーク
仮想マシンをホストしているAzureホスト基盤の仮想スイッチをバイパスし、送受信パケットが仮想マシンの仮想NICとホストの物理NICの間で直接通信を行う機能。これにより、ネットワークレイテンシを最小限に抑えることを実現し、さらに仮想スイッチにおけるネットワークトラフィックを処理するためのCPU使用率を削減することもできる。
ネットワークにおけるバイパスとは、ネットワーク機器に不具合が生じた場合や何らかの理由でトラブルが起きた場合に、ネットワークの遮断をさせないように不具合が発生したシステムを迂回することで、ネットワーク上の正常動作を維持する機能のことです。
高速ネットワークがある場合とない場合で、ネットワークルートは以下のようになります。ポイントとして、仮想スイッチ(物理サーバ)を経由するかしないかの違いがあります。
高速ネットワーク(無)
⚫︎ネットワークルート
VM1 → 仮想NIC → 仮想スイッチ(物理サーバ) → 物理NIC → 物理スイッチ → 物理NIC → 仮想スイッチ(物理サーバ) → 仮想NIC → VM2
高速ネットワーク(有)
⚫︎ネットワークルート
VM1 → 仮想NIC → 物理NIC → 物理スイッチ → 物理NIC → 仮想NIC → VM2
仮想スイッチで担っていた機能(NSGやアクセス制御リストなど)はホストによって適用される
近接通信配置グループ(Proximity Placement Groups:PPG)
仮想マシン間の物理的な距離を最小限にするため同一の場所に配置し、互いのネットワークレイテンシを短縮することを目的に提供されている機能。複数の仮想マシンを1つの近接通信配置グループに割り当てると、同一のデータセンターに配置される。